喜ばれ続けることが、阿刀田実の原点です。

阿刀田実の「あとから 実る」141~

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阿刀田実の「あとから 実る」141

2008/12/4(木) 午前 10:05

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・・・・・・○△□※#~~??~~☆・・・・・
 よい発明であると自分が思うと普通は誰かに自慢したくなるのはよく解ります。中には発明を具現化し、これをPRする人もいます。更に、試作品を作って第3者に見せて自慢する人も過去にはかなりいました。
 また、大学等の教授でも学会で前刷等を配り、出席者に誉められて特許出願しようとする方もおられました。身内に自慢することは良いとしても第3者に対して前記のような行動をした場合はそこで完全に新規性を失ったことになり、その事実が判明すれば特許を受けることはできなくなります。
 この事は承知しているようで不用意に行っている方が今でも存在しています。注意がとても必要のことと思います。勿論、審査官はそこまでわかりませんのでその出願が特許されることも有りますが大きな問題を残します。
 仮りに、先行技術が存在していることを気が付かずに出願した場合や前記のように自ら新規性をなくす行為をした後に出願した場合は特許されたとしても無効理由を有することになります。
 よって、新規性のないこと(新規性の喪失と言います)が第3者が解った場合には無効審判と言う手続をすることによりその特許は簡単に無効になる可能性があります。この事は通常はあまり行われておりませんが、侵害関係の事件が生じた場合はよくある事実です。

 

阿刀田実の{あとから  実る」142

2008/12/5(金) 午前 10:19

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・・・・・・・・・・○
自ら新規性を喪失することはないとしても1年6ヶ月の期間があるため、間違いのない方法としては1年6ヶ月たって再度先行技術を行って先行技術の有無を確認した上で出願審査請求を行うことが必要かも知れません。
但し、特許の審査はこの出願審査請求を行って実施されますので、その分権利化が遅れることになります。この事が今の特許体制の大きな問題点ですが、私はこの解決方法の1つを考え「ウルトラC」と勝手に名付けておりますが別の機会に説明して見ようと思います。
 次に、特許法第30条に規定されている「新規性の喪失の例外」について最後に少し書いて見ます。
 前記のような規定に反するものは新規性が喪失したものと見られ、拒絶の対象となりますが、ここで1つの例外があります。この例外は発明者の気持ちを考慮して制定されたものと思います。即ち、特許出願をしようとする人が仮りに公共国体の介設する博覧会等に出品して新規性を喪失することになった場合には、特別の手続をすることによって6ヶ月間に限定して新規性を喪失したいものとして取扱うことを決めたものです。
この内容については細かい点が色々規定されていますが、簡単に言うと公的な展示会等(特許庁長官が認めるもの)にその特許商品を発表しても新規性は喪失しないと言うように理解してよいと思います。しかしながら、このためには手続が必要であり、証明書が出ない場合もありますので事前に調べておくことが必要です。
また、この規定は新規性を喪失しないと言うだけのことで、その間に善意の第3者が先に出願した場合はその人に先願権があり、6ヶ月后の自分の出願が拒絶されることになることを十分に理解することが必要です。
従って、よい発明を考えたり、自慢しないで先行技術を自分等で調べ一日も早く出願することが権利取得の近道と思います。なお、この事についても「国内優先制度」と言うものがあり、別の機会に記載して見ようと思います。

 

阿刀田実の{あとから  実る」143

2008/12/8(月) 午前 10:11

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   ”進歩性について”
 発明は新しいものでなければならないことはよくわかりますが、
ここで面倒なことはこの進歩性というものが特許要件の中にあります。
新規性が有っても進歩性がないものは特許を受けることができません。
 この進歩性については特許法第29条第2項に明確に規定されていますが、
簡単に述べます。例えば、新規性があっても先行技術から容易に発明できるものは進歩性がないと言う判断がされます。
 この容易にできるものの判断はとても難しく、見解が人により大きく相違します。
特許出願の中で最も数の多い拒絶理由はこの進歩性であり、私も本当の所、
この進歩性の判断はよく出来ないのが正直の見解です。
 発明は必ず構成,目的,効果の3つあり、その発明が特許されるかどうかは
この3つによって判断されます。
前記した新規性は主に構成においての同一性が判断されますが、
進歩性についてはこの3つの内の1が予測しえないものであれば
進歩性があると判断されます。
 従って、多くの構成要素から成立している発明で夫々の構成要素に新規性がなくともこれ等を組み合わせたものに予測し得ない効果がある場合には新規性も進歩性もあるものとして特許される場合があります。例えば、機械要素と言うならば、歯車やカムや軸受等は夫々公知のものが多いですが、これ等を用いて作り上げた機械要素が予測できない素晴らしい精度を発揮することができれば進歩性ありとして特許される場合があります。
 なお、進歩性のないものとしては、公知技術の置換や数値限定、材質変更や公知技術の転用、公知技術の単なる寄せ集め等は一般に進歩性のないものとして拒絶されます。
 実際上、発明者はその発明が進歩性があるか否かを判断することは一般に困難であると思います。また、かなりの専門家でないとその判断は難しいと思います。
 そこで私は、発明をしたらとにかく新規性の有無を調べて新規性があると判断したら出願された方がよいと思います。
 その出願に仮りに進歩性がない場合には、特許庁から拒絶理由通知書が送られてきますが、その場合には必ず審査官が進歩性がないと判断した公知文献が紹介されます。従って、出願者はこの公知文献の内容を熟読し、そのものと本願発明との進歩性に有無について検討することができます。
 多くの実際例では十分に反論可能な公知文献が引用される場合があるため、意見書等を所定期日内に提出することにより拒絶を回避することができる場合が実際上多くあります。よって、進歩性については余り迷わないで出願をすることをお勧めいたします。
 その出願が特許法の諸規定に違反している場合は、必ず拒絶理由通知書が特許庁より出願人に送られて来ますのでこの反論をすることが必要となります。
反論としては「意見書」を提出することであり、もしか出願の内容を手直しする必要があれば「手続補正書」を提出することができます。
 これ等は拒絶理由通知書が来てから特許の場合は60日ありますので十分に内容を検討し、これ等を作成する期日があります。なお、この意見書等の書き方については「拒絶理由通知書」に添付書類としてサンプルが提示されておりますし、特許庁発行の簡単な読み物がありますので、個人で十分に対応することができます。
 私の経験でも、拒絶理由通知書が来たものでも50%以上特許されるケースを経験しております。

 

阿刀田実の{あとから  実る」144

2008/12/9(火) 午前 10:51

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 “早期審査について”
 発明等を考えてその権利化を望んで出願をした場合、発明者等は誰れしも早期の権利化を期待するのが普通です。
 しかしながら、現状ではこの権利化、特に発明の権利化が極めて時間がかかり国内外において大きな問題点となっております。
 特許庁はこの早期権利化の手段として審査官の増員や出願審査請求料の高額化は出願処理の電子化等を行なって早期権利化の努力を行なっておりますが、私から見ると余り効果がなく、特許の場合2~3年は楽にかかる状態にあります。特に、最近の流行のビジネス特許については出願審査請求後に2年はかかると言われております。
 そこで、私見ですが早期の権利化のいくつかのやり方を考えてみました。
 1)その1つは正統派的の手段であり、出願と同時に出願審査請求をし、かつ早期に権利化が必要であることを主張する早期審査願を提出する方法です。これにより実際上約8ヶ月位で権利化された実例を私は経験しております。この方法は有効ですが次のような問題点があります。出願前に先行技術を調査したとしても1年6ヶ月の未公開の期間があり、かつ外国ま公報や関連刊行物のすべてを調査することができません。
 従って、拒絶される場合も存在します。このためこのリスクを覚悟して出願審査請求をすることになりますが、この費用が極めて高額のため、出願時に多額の費用がかかり、場合により無駄になる場合が存在します。また、早期審査の理由も審査官側がその必要性を認識されるものでないと意味が有りません。よってこの方法は勿論成功の可能性はありますが多くのリスクを含んでいるものであることを認識して行なうことが必要です。
 2)次の手段としては発明を考案に切り変えて実用新案登録出願をする方法があります。この実用新案は方式のみの審査であり、特許要件(新規性,進歩性等の実体)の審査は行われず登録されます。従って、極めて早いものは2~3ヶ月で登録されます。しかしながら、この実用新案については色々の問題点があり、営業的のメリットはありますが特許を代行するには色々と問題があります。また、技術評価書を要求する必要があり、費用がかかります。
 この実用新案は特許出願に変更することも可能ですが出願から3ヶ月位までであり、変更すれば特許出願としての費用がかかることになりますのでこの方法もよいものとは言えません。
 3)特許出願が権利化まで時間がかかるため、美観性のあるものでしたら意匠登録出願を同時にする方法があります。意匠は正式に審査されますので安定した権利となります。よって、特許権が取得できるまでの「つなぎ」として意匠登録出願をするのも1つの方法であり、私は有効の方法と思っています。最近意匠は権利化まで早く、6ヶ月から1年位で意匠権を得ることができます。但し、特許よりも実用新案的のものでないと意匠権をとっても余り効果がないように思います。
 そこで、私としては4番目の手段として自称「ウルトラC」と言う出願方法を考えましたので次のテーマとして紹介しようと思います。

 

阿刀田実の{あとから  実る」145

2008/12/10(水) 午前 10:21

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    早期権利化の1つの手段(私案:ウルトラC)”
 早期権利化をねらう手段として各種のものを既に紹介しましたが、これに関連する面白い、かつ有効の出願形式を私は以前から考えて実施しております。効果を上げていることは申し上げてよいと思います。
 1)まず、特許出願をいたします。
 この内容は出願人が権利取得を考える出来るだけ完全の内容のものにして下さい。勿論、方法の特許も当然あります。
 2)次に、翌日(少し遅れてもかまいません)に特許出願とほぼ同様の内容の実用新案登録出願をいたします。勿論、特許が方法の場合には実用新案としては方法はできませんが、その方法を実施するに必要な構成について出願するのがよいでしよう。
 特許出願と同一のものを出願することに抵抗を感ぜられる人は特許出願の内容から外れない構成の実用新案登録出願をすることを勧めます。実用新案を特許出願より後にするのは自分で自分のものを無効にすることを防止するためです。
 3)実用新案登録出願と同時に、そのクレームの全請求項について技術評価書を請求します。
 4)2)及び3)項の結果は3~6ヶ月位で出願人に届きます。ここで技術評価書の点数と紹介された参考文献をチェックします。
 技術評価書の点数は1点から6点まであり、1点は新規性のないダメの出願です。一方、6点は審査されたたとしても登録可能な出願と判断できます。
 5)仮りに技術評価書の点数が6点であった場合にはその特許出願は登録の可能性があるものと判断されますので、出願審査請求の手続を始めます。ここで出願審査請求と同時に早期審査を要求することも有効です。通常特許出願は審査請求から1年位たってから拒絶又は登録の通知が来ると思いますので実用新案権が確定していたらそのままにしておきます。
 6)一方、技術評価書の点数が仮りに3点位だとしますとその参考文献を熟読し、その内容をクリアーするように特許出願の内容を修正します。この修正としては国内優先制度を利用するのがよいと思います。国内優先制度は出願から1年以内でしたらその特許の内容を大幅に変更することができます。勿論、技術的範疇を外れない範囲に限定されると思います。なお、この国内優先制度は既出願に代るものであり、新たな出願となり、そのものはなくなりますが、前のものの出願日は確保することができます。但し、新しく追加したものは国内審査制度に基く特許出願日に出願したことにはなります。
 7)特許出願の修正によりその特許出願は登録される可能性があり、早期審査を請求することにより、かなり早期に権利化される可能性が高いです。
 8)特許出願が登録されたら実用新案を取り下げ特許出願1本に以後進めることがよいと思います。
 以上の手段は特許法のよい所を利用したもので決して違法に当らないと思います。また、そのための費用も普通の1つの出願の1.5倍以下のものですみます。
 当然、自分で出願した場合は10万円以下で対応することが可能となります。
 9)勿論、前記のように意匠登録出願を同時にすることもよりベターの方法と思います。

 

阿刀田実の{あとから  実る」146

2008/12/11(木) 午前 9:56

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 “防衛特許出願について”
 新しい発明等をした場合、その発明について独占権を獲得し、他人の侵害を防止しようとする行為を行うことはごく普通のことであり、これが特許法の目的に反するとか、欲張りであるとか言うこととは別のこととも言える。優れた発明は産業の発達に寄与するものであり、欲得がベースに有ったとしても一面では大いに歓迎すべきものとも言えます。
 一方、すぐれた発明は少なく、折角多額の費用をかけて発明を完成させたとしても生きない又は生かされていない発明として取扱われ、死蔵特許(休眠特許)などと言ういやな名前を付けられている発明も数多くあります。
 この死蔵特許をなくすためにはこのための組織化をする必要がありますが、残念ながら日本には殆ど存在していません。
 所が、最近の新聞(日本経済新聞2008年11月)によると米国の企業で日本の休眠特許を買い集めてこれを業務(仕事)とする会社が日本に上陸して来て、特許の“黒船”などと言う記事がでています。
 この会社のやり方は休眠特許を有効特許にする技術的ないとなみを行うものでなく、この休眠特許を侵害している会社を探し出すことにあるらしい。このようなビジネスがもし日本で成功すると、日本の特許会社や特許屋が同じような仕事を始めることが十分に考えられます。
 特に、最近では弁護士や弁理士の数が大幅に多くなり、多くなった割合には仕事がない状態が発生していることは事実です。従って、特許専門屋が米国の会社のような仕事を始めることは十分に考えられます。
 企業が多くの特許を有している場合、クロスライセンスと言う道があり、休眠特許についてのアプローチが仮りにあっても直接損害を被ることは少ないと思いますが特許のガードの甘い会社は休眠特許作戦によって大きな損害を被むる場合も将来発生するのではないでしようか。?

 

阿刀田実の{あとから  実る」147

2008/12/12(金) 午前 11:15

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  “防衛特許出願について”その2
 この防衛策としては色々の手段がありますが、大きな手段として防衛特許出願が有ります。この防衛特許と言うのは、その発明について独占権を獲得することを目的とするものでなく、先願権を確保するためのものです。
 その発明についての先願権の獲得の手段としてはその発明をかねてから実施していると言う記録を明確にして先使用権を主張する方法や、著作権を確保する方法等がありますが、その先願性を確実に確保するにはその発明について特許出願して出願日を明確にすることが一番効果的と思います。
 独占権を得るにはその出願について出願審査請求をすることがまず必要であり、多額の費用が必要であり、更に拒絶に対する意見書の提出や手続補正も発生する可能性があり費用が必要となり、更に登録に伴う費用が必要となり、全体としてかなり高額の費用が必要となります。
 しかしながら、特許出願のみの場合は出願費用(15,000円位)のみでよく、明細書等の作成を個人又は会社自体で行った場合は以上の費用以外の費用が必要にはなりません。
 その発明の内容については企業が一番よく知っているはずであり、将来の休眠特許侵害を十分に意識しているとすれば数多くの関連発明を同時出願することができ、十分に特許防衛することができます。
 従って、今後企業は是非防衛特許出願体制を確立すべく組織化を行うと共に自社出願の体制を一日も早く確立することが必要です。
 勿論、特許専門家の支援も必要と思いますが、企業防衛のため一日も体制を確立されることを念願いたします。

 

阿刀田実の{あとから  実る」148

2008/12/15(月) 午前 10:05

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“共同出願について”
 発明は単独で又は一企業のみで進めることが多いが他人又は他の企業と一緒に進める場合もあります。この結果、共同で出願することになる場合が多いと思いますが、この共同開発や共同出願については数多くの注意点があります。
 まず、個人や比較的小企業の場合、開発についての智識を有している知人や親企業の開発担当の方に自己の発明を開示する(自慢も含みます)ことがよくあります。この場合、他人があくまで善意の人であった場合には問題はなく、かえって他人の知恵を借りることによってよりよい発明となる場合もあり歓迎すべきことですが、ここに大きな問題点があります。
 開発者が特許等について明るくない場合や開発者が善人である場合によりあることですが、本人の知らない間に第三者が出願をしてしまう場合があります。特に親企業の下請担当者の中には下請会社の発明を聞いて下請会社に内緒で出願をしてしまい、後に下請会社がその発明に関する商品を製作した場合には、逆に特許侵害などと言って安価にその商品を親企業に納入させるような悪意のある行動が発生する場合があります。
 勿論、以上のことは真に怪しからんなことですが、出願されてしまうとこの出願が冒認(本来的には認められない行為)によるものであることを立証しなければならず、実際上、かなりやっかいなものとなります。以上のことを防ぐには、他人や親企業に一切相談しないか又は秘密契約書を取り交す等の防御手段が必要ですが、やはり共同開発を必要とする場合があります。
 通常、共同開発を数人又は数社で行う場合、数人の場合は共同開発に関する契約書を交すことにより大きな問題が生ずることは少ないと思いますが、数社で開発する場合、特に大きな企業と共同開発する場合には共同出願がダメになるケースがあります。
 即ち、数社(2社でも同じ)の場合、開発担当としては特許部の人達ではなく開発担当の人々との間で開発業務が進められますが、共同出願の時点では特許部を無視できません。
 特許部と開発担当との間でコンセンサスが十分にとれている場合は問題発生は少ないと思いますが、共同出願の時点で特許部がからんで来ると大体がダメになる傾向が強いと私は経験しております。最終的には共同出願は社長印が必要となり、大企業では社長印を戴くには多くの手続が必要となり、その業務は特許部が行うことが通例です。
 よって、開発担当の間で共同出願が進んでいても特許部の関与によりダメになる場合もあり、最悪にはその開発発明を基として親企業側が単独出願をしてしまう問題点も生じます。
 以上のことを防止するには共同出願をするための色々のトラブルを開発作業と共にキチンとまとめて業務を進めることが必要です。特に、専門家の関与しない自己又は自社出願の場合は注意が必要です。
 共同出願が問題なく成立した場合においても多くの問題点があります。特許法では共同出願に関する色々の規定を設けておりますが、幾つかの必要事項を次に書いてみます。
 まず、共同出願をした場合、共同出願人はその出願の内容についての製造販売は他の共同出願人の許可がなくても勝手にできます。従って、共同出願人の製造販売の力に差がある場合、力のある共同出願人が大規模な販売をして他の共同出願人の出番がなくなるような現象が発生したとしても何等の文句は言えません。そのためには共同出願人の選定も大切ですが、お互いの間で業務協定的なものを作ってこのトラブルが生じないようにすることが大切です。
 また、共同出願の場合、このために得る利益についての分配(持分と言います)は均一であり、この権利を他人にライセンスさせた場合の礼金等についての分配は均一となります。この均一が問題がある場合には登録時において持分の比率を明確にして特許庁へ登録しておくことが必要です。
 また、共同出願人はその権利取得や継続やライセンス等に関しての費用は原則として均一のものからなります。これについても当事者間での契約があれば別になります。
 また、共同出願人は他の共同出願人の許しがなければ他人に実施権を設定したり、権利放棄や売却したりすることは全て禁止されております。
 なお、出願審査請求や登録料の納付等については単独で出来ますので、この場合も金銭の持分については明確にしておくことが必要でしよう。
 また、共同出願人がその発明を基にして他の発明をする場合がありますが、少なくとも利用発明については共同出願人の間でその処置について諒解を得るように取り決め等を作成することも必要でしよう。
 いずれにせよ、共同出願をする場合は、専門家に予め相談し、将来の問題点発生を防止することが必要と思います。
 また、最近はオンライン出願のため、自社出願の場合は共同出願人の1人がオンライン手続をすることになります。そのため、他の共同出願人は後に共同出願人であることを特許庁に申し出る必要があり、このための書類のオンライン化に多少の費用がかかることを承知しておく必要があります。
 また、出願人を後に追加することは勿論可能ですが、この場合は、単独出願人の持分が減ることになりますのでこの点を十分に理解した上で追加を行うようにすることが必要でしよう。

 

阿刀田実の{あとから  実る」149

2008/12/16(火) 午前 10:12

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“出願公開について”
 出願された発明の内容は原則として1年6ヶ月で公開され、公開公報が発行され、誰もがその出願の内容を見ることができます。通常1年6ヶ月内には特許権が発生することは少ないため、権利取得する前にその発明の内容が公知になり、め出願人にとっては正直に言って迷惑なことになります。
 権利化されていない発明については誰もが自由に実施することが出来ますし、その発明を基にして更によい発明を考え出すことも出来ます。勿論、他人は同一の発明について出願することはできません。
 この出願の公開は出願人にとっては一見不利のものと思いますが、特許法の目的が産業上の発展のためと言う原則がある以上、仕方のないこととなります。即ち、よい発明の出願人に特許権と言う独占権を取得できるメリットを生じさせる反面、法目的のために他人に塩を送ることを求めるものです。
 この出願公開制度があるため、出願人としては公開される前に自分の発明を実施できる体制を作り上げ、他人が知らない内にその発明によるメリットを上げることに努めるべきと思いますし、また、公開されても平気であると言う次のステップへの予めの準備が必要です。勿論、早期審査を求め公開前に権利化する手段を行ってもよいと思いますし、この件については既に発表しておりますので別の論文(ブログ)を参考にして下さい。
 勿論、特許法においても出願公開された発明を実施している他人に対し、補償金を請求することができますが、この補償金はその発明が特許された場合にのみ行使できるものであり、仮りに拒絶された場合は逆に無過失賠償責任が付加されて他人にお金を支払うことが必要となるため、この補償金の請求は慎重に行う必要があります。
 以前は、出願された発明は特許される前に公告制度や事前の特許異議申立制度等があったため、出願公開された発明に対してやや無視していてもよかったのですが、最近は公告や特許異議申立制度が特許権取得前にないため出願公開された発明について特許庁側で拒絶理由がないと判断した場合には特許されることになり、権利化した後に特許異議申立や無効審判をするしかなく、その発明の特許権化を早期に防止することができなくなります。
 そのため、常に出願公開された発明の中、自分に関連するものを集め、これに対する適切の処理をすることが必要です。
 この具体的としては情報提供制度があり、特許関係者はこの制度を十分に理解し、適切な情報提供を常時行うように最善の注意をはらうことが必要です。
 具体的のやり方としては出願された他人の発明の特許化を防止するためのもので、その発明を無効とするための必要のデータを特許庁に提出し、審査官殿の審査上の誤りを防止するようにする書類手続を行うものです。具体的のやり方は特許に関するすべての本に詳しく記載されておりますし、特許庁の相談室に相談することにより誰もが容易に行うことができます。
 発明は出願する前に先行技術を調べることが必要ですが、出願時にはそれより1年6ヶ月前に出願した発明の内容は解りません。
 よって、先行技術調査をしても発見されない出願が存在するかも知れませんが少なくとも1年6ヶ月を経過すればその発明に関連する殆ど全てのものに公開され、手に入るため、出願公開されたらもう一度先行技術を調査し出願の可否及び出願審査請求の可否を決めることが重要な手続です。
 出願公開公報は数多く報告され、これを見ることが大変と思う方もおられると思います。自分に関係する発明はそれ程多くなく、こまめに公開公報を見ていれば特に問題はないと思います。
 また、公開公報の中から素晴らしい発明の種を発見することができ、素晴らしい特許発明のベースとなる知識を得ることも勿論可能でしよう。
出願公開公報を熟読しよう!

阿刀田実の「あとから  実る」150

2008/12/25(木) 午前 10:34

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“職務発明について”
 1)職務発明制度の趣旨
 職務発明制度は、「使用者、法人、国又は地方公共団体(使用者等)が組織として行う研究開発活動が我が国の知的創造において大きな役割を果していることに鑑み、使用者等が研究開発投資を積極的に行い得るよう安定した環境を提供すると共に、職務発明の直接的な担い手である個々の「従業者、法人の役員、国家公務員又は地方公務員(従業者等)」が使用者等によって適切に評価され報いられることを保障することによって、発明のインセンティブを喚起しようとするものです。つまり、全体として我が国の研究開発活動の奨励、研究開発投資の増大を目指す産業政策的側面を持つ制度であり、その手段として、従業者等と使用者との間の利益調整を図ることを制度趣旨としているものです。
 2)適用対象
 使用者等:使用者、法人、国、地方公共団体(以下「使用者」という。)
 従業者等:従業者、法人の役員、国家公務員、地方公務員(以下「従業者」という。)
 3)職務発明とは
 使用者等の業務範囲に属し、かつその発明をするに至った行為がその使用者等における従業者等の現在又は過去の職務に属する発明
(1)従業者等がなした職務発明について、使用者は通常実施権を有する。
 発明が生まれるにあたり多大な貢献(給与の支払や実験設備の提供等)をしている使用者を保護するもの。
(2)職務発明については、事前に契約、勤務規則等により、使用者への承継等を定めることができる。
 使用者に権利を確実に承継させることにより、安定的な発明の実施を保証し、組織的な特許の活用を可能とするもの。
(3)契約、勤務規則その他の定により職務発明に係る特許権等を使用者に承継した場合、従業者には「相当の対価」を受ける権利がある。
 従業者を保護すると共に発明を奨励するもの。
(4)「相当の対価」の額については、使用者が受けるべき利益の額及び発明が生み出されるに当たり使用者が貢献した程度を考慮して定めなければならない。
※私見
 職務発明は以上のような内容であり、近年格企業において重要視されているものであるが、大企業は別として中小企業でしその取り組みが不十分の場合が多い。発明奨励のためと企業防衛のためにはすべての企業において特許戦略が必要であるが、発明をするのは主として従業員であり、これ等の人達が、特許出願に対する意欲をもたせることが必要です。
 一方、使用者側としてもこの制度のために手玉にとられることのないように35条を十分に検討し企業としての制度を明確に定め従業員に徹底し、諒解を求めることが必要と思います。

 

阿刀田実の「あとから  実る」151

2008/12/26(金) 午前 10:10

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特許権及び実施権”
 出願の内容について拒絶理由がなければ特許査定され、一定の登録料を納付することにより特許権が成立します。
 この特許権は取り下げ、放棄、無効、相続人不在等の権利消滅の原因がなければ出願日から20年間の独占権となり、国内では誰もが権利者の許可がなければその特許を使用することは出来ません。
 なお、医薬品のようにその効果や安全性について多くのテスト期間を必要とするものについては出願日から25年間独占権を保有することができるが、一般の特許は前記のように20年の存続期間となります。
 この場合、独占権は属国主義のため日本国内においてのみの独占権となり、外国においては権利がなく、このためには対象の外国において独占権を取得しなければなりません。所謂外国出願をすることが必要になります。
 特許権は独占権であるから、その発明に関する製造、販売が独占的に出来る他、その発明と同一技術的範疇と判断される内容についても独占権を有するものとされています。
 勿論、この独占権は財産権であり、他人に譲渡することも他人からライセンスを取得することも通常自由に出来ます。
 発明者はこの独占権を自分自身で実施する場合が多いが、他人にその発明を実施させることがよく行われ、このための実施権許諾と言う制度があります。
 この実施権としては専用実施権と通常実施権があり、更に質権も存在します。
 専用実施権はその独占権を専用する権利であり、特許権者の指定する内容に限り独占的に実施することができる権利であり、その内容に限定して特許権者も実施することができない大きな権利であります。
 従って、自分だけがその特許を実施したいと思う人は、特許権者からこの専用実施権を許諾し、その特許を専用的に実施する権利を取得することができます。勿論、決められた内容以外については独占権を保有しないことは言うまでもありません。
 一方、通常実施権はその特許について実施できる権利ですが、自分のみでなく、自分以外の人にも同じ権利が与えられると言うものです。特許権者が各分野で力のある人に対してその特許を実施してもらい、実施の範囲を拡大するために用いられるものです。
 なお、通常実施権者は自分だけがその特許を実施できるものではないことを十分に認識してこの権利許諾を求めることが重要です。なお、通常実施権があっても特許権者はその特許を自由に実施することができます。
 この通常実施権については各種のものがありその内容の説明は省略しますが、先使用によるもの、無効審判の請求前の実施によるもの、意匠権の存続期間の満了後のもの、不実施の場合のもの裁定によるもの等、規定に定められている通常実施権があのます。これ等については専門的のものであり、必要において専門家と相談するのがよいと思います。
 また、実施権の登録の効果についても法の98条等において規定されております。この実施権についての利用費用については品物に応じてまちまちですが、例えば、売上高の1~5%程度のものが一般的に用いられています。
 勿論、多量の商品は0.1%と言う例もあります。特許権者はその権利が財産権であり、その利用や使用について十分に検討する必要があり、権利の内容や限界やこの実施権について十分に勉強することが必要と思います。
 また、最近仮通常実施権と言う制度があり、権利取得前の実施権として判定され出願中の発明の有効利用に寄与しています。また、独占的通常実施権と言うものがあり、専用実施権に似ておりますが、法的に定められたものではなく私的契約によるものです。

阿刀田実の「あとから  実る」152 (1)

2009/1/7(水) 午前 10:15

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 国内優先制度について”
 発明をした場合、一刻も早く出願して先願権を取得しようと思うことは当然です。しかしながら、色々の考えが次から次へと出て来て出願に踏み切るために躊躇する場合が多い。このため折角のよい発明が他人により先に出願され、新規性を失う心配が生ずる恐れがあります。
 このため、発明者は少し不十分の状態でも出願手続をしてしまうことが必要です。そのため、出願をしてからその内容を少し手直ししようと言う状態が発生します。特許法としては補正制度があります。しかしながら、この補正は既出願の内容を越えるものは原則として認められません。即ち、先願権の追加は出来ないと言うことです。
 このため、この補正は既出願の要旨を変更しない内容に限定されます。例えば、表現が悪いためにその発明の内容が良くわからなくなることを防止するための補正や誤字や表現の誤りの補正や発明の詳細な説明に記載してある内容を特許請求の範囲に持ち上げる補正等は認められますが、既出願の内容以外の項目を追加する補正は認められません。
 しかしながら、実際上、どのようなものが要旨変更になるかがわからない場合も多く、折角補正をしても補正却下される場合が過去に多く存在していました。この補正却下が出願後の補正実施日よりもかなり後から来るため補正却下されるとどうにも救い道のないのが実状でした。
 昔の特許法では補正却下不服審判と言う制度がありましたが新法ではこの制度は削除されました。そこで、この補正に関するトラブルをなくすために制度化されたのが国内優先制度です。
 既出願の内容を補正したいが、要旨変更になる危険性がある場合にこの制度は有効なものです。
 この国内優先制度とは、既出願の出願日から1年以内に限定して既出願の替りに新出願をすることができると言うものです。
 新出願の場合にはその出願日が実際の出願日となりますが、この制度を用いた新出願の場合は、既出願の内容については出願日がもとの出願日となる点に特長を有するものです。勿論、新出願において追加された内容については新出願の出願日が実際の出願日となります。この新出願において追加可能の内容は要旨変更の内容でもよい点に特長を有します。但し、その内容としては特許法の第37条に規定されている範囲内のものに限定されることは当然です。この第37条とは2つ以上の発明に関するものであり、産業上の利用分野等の同一性や物の発明の場合にその物を生産する方法の発明とか機械器具に関する発明等であり、既出願の発明の内容に関連の深いものに限定されるものと理解すべきものと私は思っています。全く異なる発明を追加することは国内優先制度の制度目的から外れるものと思います。即ち、出願をした後に気がついた関連発明について要旨変更を心配しないで出願できるものと理解することが正しいように思います。
 そのため、国内優先制度による新出願としては既出願の必要内容を全部記載すると共にこの既出願の内容に関連する関連発明のすべてを記載することが必要となります。
 即ち、新出願されますと既出願は既出願の出願日から1年3ヵ月を経過した後には取り下げたものとして取扱いされます。よって新出願には既出願の必要内容のすべてを記載しておく必要があります。
 この新出願は既出願と異なる新出願のため仮りに既出願について出願審査請求をしていたとしても改めて出願審査請求をする必要があり、当然ながら出願料も改めて支払う必要があります。但し、出願審査請求の期限や出願公開の期限等は新出願の出願日を基にして決定されます。
 以上のように国内優先制度は従来の補正による要旨変更のトラブルを解消する効果を有するものですが、新出願のため改めて色々の手数料がかかることを十分に認識することが必要です。
 一方、私の主張するウルトラCの出願(実用新案登録出願と技術評価書と伴う特許出願)の場合には、この国内優先制度の利用により、特許出願の権利化の可能性が高まる可能性が高く、有効に利用すべき制度であると思います。但し、既出願から1年以内であることを十分に理解して頂きたく思います。・・・念のために!!

 

阿刀田実の「あとから  実る」153

2009/1/13(火) 午前 9:49

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“手続補正の期限等について”
 特許出願に必要な書類としては、願書,特許請求の範囲,明細書,図面,要約書が挙げられます。このものについては全く補正できないと極めて不便であると共に、拒絶等の特許庁からの処置を受けた場合に補正によって権利化ができる場合もあり、前記各書類の内の一部の補正を認めることを法で明確に定めています。
 この詳しい内容については深く勉強する必要がありますが、常識的に知る必要がある範囲について簡単に記載してみようと思います。
 1)まず、本件が特許庁に係属している間は前記の願書,特許請求の範囲,明細書,図面,要約書の補正は可能ですが次の記載内容に関連する場合には補正はできません。
 2)補正出来ない場合
  a)特許請求の範囲,明細書,図面,要約書については特許法第17条の2から第17条の4の規定で補正ができるとしている以外については補正できません。
  b)外国語の書面出願については外国語書面及び外国語要約書については補正できません。
  c)また、第17条3項(この内容は条文を見て下さい)については指定されている期間内以外は補正できません。
 3)前記a)において第17条の2から第17条の4の規定の概要
  イ)第17条の2
  拒絶理由通知が来た場合の指定期間内(通常は60日)
  ロ)第17条の3
  要約書は出願日から1年3ヶ月まで
  ハ)第17条の4
  無効や訂正の場合の請求項について指定期間内(30日)
  ニ)審判請求と同時にする指定期間内(30日)
 4)補正のやり方
 定められた手続補正書の書式により行う。この場合の
要旨変更は認められない。特に、特許請求の範囲を補正した場合はそれに関連する明細書の内容の補正を忘れずに行う必要があります。
 5)補正却下不服審判がないため、補正が認められない場合にはその出願そのものが拒絶されるため方式的の補正の場合は特に注意が必要です

 

阿刀田実の「あとから  実る」154

2009/1/14(水) 午前 9:58

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“外国出願について”
 製品及び商品のグローバル化に伴って発明の中には日本国内への出願及び権利化のみでなく、その製品や商品を輸出する諸外国への出願及び権利化が必要となる場合があります。これは特許権等の産業財産権の属国主義によるものであり、その権利は国単位に有効であり、一国で権利を取得してもこの権利がその国以外の国々において権利を有するものでないとの決まりによるものが基本となっています。なお、この属国主義はインターネットが普通化されている最近においては近い将来にはなくなるかも知れませんが、現状では権利は属国主義によって制限されております。
 このため、例えば、日本国に出願し特許権を取得しても必要とする諸外国へ出願をし権利を取得することが必要となり、この出願のことを“外国出願又は国際出願”と通常称呼しております。
 この外国出願については大きく2つに分かれ、パリ条約に基づく外国出願と、特許協力条約(PCT出願と略称している)に基づく国際出願とがあります。
 1)パリ条約によるもの
 この外国出願は昔からあるものでPCT出願が出現するまでは外国出願はすべてパリ条約に基づくものが一般に行われていました。この外国出願は一国に出願した出願人(又は発明者)がその一国における出願を基にして希望するその他の国(外国)に直接出願する形式のものからなります。但し、他の国としてはパリ条約に基づく条約に加入している国に限定されるが、現在ではほとんどの国がこのパリ条約の加盟国(加入国)となっております。この内容については専門書や専用条文等を知見する必要はありますが、簡単に述べますと、例えば、日本への特許出願を基にして一年以内に希望する外国(パリ条約加入国)へその外国の法制に従って直接出願をすると言う内容のものからなります。この場合、一年以内の出願であれば外国への出願の日が日本国への出願の日と同日に取り扱われる点に大きな特長を有するものです。即ち、一年以内に外国出願するとその外国の法制による直接出願であると理解すればよいと思います。そのため、外国の法制を知る必要があり、
少なくても翻訳とその国への出願書式による出願書類が必要となります。なお、外国への直接出願も可能ですが、色々の制限がありますので専門家の力をかりることが良いと思います。但し、私は外国出願はかなり費用がかかるため出来るならば直接出願が望ましいと思います。私はこの研究をしておりますが今の所、直接出願を行っている人は少ないのではないかと思いますがルートはあると思います。
 また、当然ながら、仮に日本国において特許権を取得していたとしても外国で特許権を必ず取得出来るものではないことを十分に知ることが必要です。逆に外国で特許権を有していても日本国で特許権を必ず取得出来るものでないことも十分に知ることが必要です。特にアメリカでは出願から権利取得までの期間がかなり短いため、先にアメリカに出願してこれをベースにして日本国への優先権主張の出願をするケースもありますが、日本国で必ず権利取得できるとは限りません。なお、このパリ条約に基づく外国出願の専門家に依頼すると150万円もかかることを認識する必要があり、大企業は別にして小企業では外国出願は出来ないのが通常であり、この点を改善して行く事が必要と思います。
 2)特許協力条約(PCT)によるもの
 前記のパリ条約の場合は前記のようにかなりの出願費用がかかると言う欠点がありましたが、この1つの是正等として生まれたのがPCTによる国際出願です。この内容についても多くの専門書がありますが、簡単に説明しますと、例えば、日本国への特許出願を基にして日本国へPCT条約に基づく国際出願ができる内容からなり、1年以内にPCT条約に基づく国内での出願をすることによりPCTに加入している外国において日本国への当初の出願の出願日が外国における出願日として認められるものです。パリ条約のように各国へ直接出願する必要がなく、日本国において手続きをすればよいと言う便利なものです。また、その費用もかなり安く50万円以下で可能ですし、専門家に依頼しないで行うことも十分に可能です。
 PCTによる国際出願は当初における手続きは比較的簡単ですが、結局は希望する指定国に対し、その指定国において定められている法制に従っての手続きが後に必要となり、この手続きの期日や内容についても決められているため十分に勉強することが必要ですが、特許庁の国際出願への相談室がありますのでそこで説明してもらう必要もあり、結果としては専門家に依頼をすることに現状はなると思いますが、この件も直接手続が可能であると私は考えております。なお、外国語でされた国際出願については2年6ヶ月以内に翻訳文の提出が必要となり、必要とする指定国へこの期間までに手続きをすることが必要となります。また、PCT出願により国際公開や国際調査や国際予備審査や19条や34条補正等が前記期日(2年6ヶ月)前に実施されるためこれ等の内容を把握して指定国への手続きを行うことが必要と思います。
 このPCT出願はさし当り定額の費用で国際出願が可能となるベース作りができると言う点で魅力のある出願形式と思いますので必要な方は是非特許庁の国際出願室に出かけてその内容を把握することをお勧め致します。

 

阿刀田実の「あとから  実る」155

2009/1/15(木) 午前 9:51

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“審判,再審,訴訟について”
 出願された発明については出願審査請求をすることにより実体審査が行われ、特許査定又は拒絶理由通知書の発行が行われる。後者については意見書や手続補正書を作成し反論し、特許査定されるように努力することが通常行われる。しかしながら、拒絶理由に対して反論しても結果としてそれが認められずに拒絶査定されることが次のステップとして行われる。この場合において反論として行われるのが拒絶査定不服審判です。
 この審判のやり方としては一応決められた書式がありますが、少なくとも拒絶査定があってから(謄本の送達日から)30日以内に審判を請求し、更に30日以内に限り明細書等の補正をすることが定められていましたが平成21年1月1日より法改正があり、拒絶査定から3ヶ月以内に審判を請求するようになりました。
 但し、明細書等の補正は審判請求と同時に行うことが必要になりました。この審判は民法における一審に当るものであり、裁判所でなく特許庁において行うことが出来るものであり、専門家の代理によることが通常行われておりますが個人が行うことも勿論可能です。無論、この場合も審査段階と同じく審判官の面接が認められております。
 但し、拒絶査定不服審判については審判官による審判に先立って審査官による審査が行われる場合もあり、審判請求においても拒絶理由通知が送付される場合もあります。この拒絶査定不服審判の結果、特許査定される場合もありますが、不可の場合は審判請求が却下される審決が行われる場合もあります。
 これに対しては特許法では第178条で審決に対する訴えが定められており、民法の規定による訴えが行われます。但し、この訴えは二審であり、東京高等裁判所の専属管轄となります。よって弁護士が必要となります。この訴えの判決に対しては高等裁判所による控訴が行われることは民法の規定の通りです。
 一方、特許査定された後においてもその権利を無効とする審判があり、これが特許無効審判と言われるものです。旧法では特許査定された発明に対しても特許異議申し立ての手段がありましたが現在はこの制度は特許法や実用新案法にはなく、無効審判のみが認められております。この無効審判は何でも出来ますが、その内容によっては利害関係者に限定される場合もあり、法123条を見ることが必要になります。
 無効審判に関連して訂正審判や再審制度が法に定められておりますが、専門的の内容のためここでの説明は省略します。
 一方、特許異議申立が出来なくなることに対して特許付与後においても情報提供(匿名でもよい)が出来るようになっております。この提供を基にして無効審判を請求することが行われると共に、特許権者としては訂正審判の参考資料となることが考えられます。なお、情報提供は公開後において行われることが重要であり、権利化される前における情報提供が効果的のものと思いますので公開公報については目を光らすことが重要です。
 この情報提供についての提出書の方式は様式第20に定められている「刊行物等提出書」により行われ、この書類は勿論オンラインで行うことができます。この刊行物等としては公報が望ましいが一般の刊行物であっても認められております。
 また、情報提供や無効審判の請求についても特許権者に特許庁より一件書類が送付又は送達されると思いますので対応は可能です。前記のように拒絶査定不服審判は個人でも可能ですが、権利化後の各審判や再審や訴訟については専門家に以来することが必要かと思いますが勿論自分でやることも十分に可能であると思います。

 

阿刀田実の「あとから 実る」156

2009/1/20(火) 午前 9:49

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特許における罰則について”
 特許法では第11章において罰則に関する規定が設けられております。
 特許に関する一連のブログの最後のしめくくりとしてこの罰則に関する概要を次に記載します。
 1)侵害の罪
  a)特許権又は専用実施権を侵害した者は10年以下の懲役もしくは1千万円以下の罰金。
  b)また、侵害する行為とみなされる行為を行った者は5年以下の懲役もしくは5百万円以下の罰金。
 2)詐欺の行為の罪
 詐欺の行為により特許,特許権の存続期間の延長登録又は審決を受けたものは3年以下の懲役又は3百万円以下の罰金に処する。
 3)虚偽表示の罪
 法第188条の虚偽表示の禁止の規定に違反した者は3年以下の懲役又は3百万円以下の罰金に処する。
 4)偽証等の罪
 この法律の規定により宣誓した証人,鑑定人又は通訳人が特許庁又はその嘱託を受けた裁判所に対し虚偽の陳述,鑑定又は通訳をしたときは3ヶ月以上10年以下の懲役に処する。
 なお、事前に自白したものは刑の減刑又は免除が出来る。
 5)秘密を漏らした罪
  a)特許庁の職員又はその職にあった者がその職務に関した知得した特許出願中の発明に関する秘密を漏らし又は盗用したときは1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
  b)秘密保持命令に違反した者は5年以下の懲役もしくは5百万円以下の罰金に処する。国内外においても同じです。
 6)両罰規定
 法人の代表者又は法人もしくは人の代理人,使用人その他の従業員がその法人又は人の業務に関し次の行為をした者やその法人に対し次の罰金刑を処する。
  a)前記1)項の侵害及び秘密保持に関する違反に対しては3億円以下の罰金。
  b)前記2)項及び3)項に関しては1億円以下の罰金。
 7)過料
  a)虚偽の陳述に関するもので10万円以下の過料。
  b)呼出しに出頭せず、宣誓,陳述,鑑定,通訳を拒んだものは10万円以下の過料。
  c)調拠調べ又は証拠保全に関し、書類や物件の提出に従わないときは10万円以下の過料。

 

阿刀田実の「あとから 実る」157

2009/1/21(水) 午前 9:46

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“特許における罰則について”
 特許法では第11章において罰則に関する規定が設けられております。
 特許に関する一連のブログの最後のしめくくりとしてこの罰則に関する概要を次に記載します。
 1)侵害の罪
  a)特許権又は専用実施権を侵害した者は10年以下の懲役もしくは1千万円以下の罰金。
  b)また、侵害する行為とみなされる行為を行った者は5年以下の懲役もしくは5百万円以下の罰金。
 2)詐欺の行為の罪
 詐欺の行為により特許,特許権の存続期間の延長登録又は審決を受けたものは3年以下の懲役又は3百万円以下の罰金に処する。
 3)虚偽表示の罪
 法第188条の虚偽表示の禁止の規定に違反した者は3年以下の懲役又は3百万円以下の罰金に処する。
 4)偽証等の罪
 この法律の規定により宣誓した証人,鑑定人又は通訳人が特許庁又はその嘱託を受けた裁判所に対し虚偽の陳述,鑑定又は通訳をしたときは3ヶ月以上10年以下の懲役に処する。
 なお、事前に自白したものは刑の減刑又は免除が出来る。
 5)秘密を漏らした罪
  a)特許庁の職員又はその職にあった者がその職務に関した知得した特許出願中の発明に関する秘密を漏らし又は盗用したときは1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
  b)秘密保持命令に違反した者は5年以下の懲役もしくは5百万円以下の罰金に処する。国内外においても同じです。
 6)両罰規定
 法人の代表者又は法人もしくは人の代理人,使用人その他の従業員がその法人又は人の業務に関し次の行為をした者やその法人に対し次の罰金刑を処する。
  a)前記1)項の侵害及び秘密保持に関する違反に対しては3億円以下の罰金。
  b)前記2)項及び3)項に関しては1億円以下の罰金。
 7)過料
  a)虚偽の陳述に関するもので10万円以下の過料。
  b)呼出しに出頭せず、宣誓,陳述,鑑定,通訳を拒んだものは10万円以下の過料。
  c)調拠調べ又は証拠保全に関し、書類や物件の提出に従わないときは10万円以下の過料。

 

阿刀田実の「あとから 実る」158

2009/1/22(木) 午前 10:16

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“特許侵害について”
 折角特許権を取得しても他人がその特許を許諾なしに使用することは特許権者にとって極めて不快なことであり、大きな損害を被ることが多いと思います。そのため法は侵害行為に対して特許法及び民法や憲法により侵害行為に対する各種の処置を進めております。この内容はかなり専門的のものであり、侵害に関しては専門家に相談することが望ましいが、ここでは最低限必要と思われる内容を次に開示してみたいと思います。
 1)まず侵害しているかどうかの検討
  特許権はその「特許請求の範囲」に記載されている内容について権利を有するものであり、ここに開示していないもの(例えば、明細書にのみ記載しているもの等)については権利を有するものではありません。また、クレームに記載されている内容のすべてについて実施している場合が侵害であり、その一部を実施しているものは原則として侵害ではありません。よって、特許権者が侵害していると思って侵害者を追究すると侵害者は色々と理屈をつけて侵害していないことを立証しようとします。
 よって、侵害であるとの通告についてはその内容を十分に検討することが必要です。また、侵害者に故意又は過失があった場合に侵害が成立するものであり、ない場合は侵害とはなりません。但し、故意又は過失の立証は侵害者の側にあり、侵害者がこの立証をしない場合にはその行為に少なくとも過失があったものとして不法行為が成立します。
 また、特許法ではその第101条において侵害とみなす行為を決めていますので読取して下さい。簡単にこの内容を記載しますと特許が物の発明の場合においては、その物の業として実施するものやその物の生産にのみ用いる物の生産や譲渡輸入等が侵害とみなされます。

 

159  2009/1/23(金) 午前 9:49

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2)侵害があった時
  特許法では第100条に「差止請求権」を規定しています。侵害の停止や予防を請求する権利です。また、その物の廃業や設備の除去や侵害の予防に必要な行為を請求することができる権利です。この場合、まず警告が必要であり、仮処分,不当利得返還請求,侵害賠償請求,証拠保全,和解等の各種の措置があります。通常はその物の製造,販売停止や損害賠償等の処置が行われます。この場合の損害額の推定等については特許法第102条に記載されております。また、法第106条に信用回復の措置が規定されております。
 いずれにしても差止請求があった場合は定められた期日内において侵害者側からの回答が必要となり、この回答によって次の措置が行われます。
 3)侵害者側の措置
  故意に侵害する場合は別として侵害者側としては気がつかずにその特許権に関する発明を実施している場合が多く、侵害であるとの警告に対しては通常はビックリする場合が多いと思います。実際に侵害しているとすると、その権利者に対して多額の支払をする必要が生じ、また、製造販売ができなくなり、会社経営が悪化し、場合により倒産する恐れも生じます。このため、侵害者側としては侵害していないと言う回答をし、結果として相互で争いが発生します。しかしながら、この争いはネガティブのものであり、出来るだけ避けることが必要と思います。技術的の相異点を細かく主張しても必ず争点が生じ、結果として長期間の争いとなり、多額のお金が必要となります。そこで、私としては仮りに侵害があった場合には、製造,販売を中止して実施料を支払うことを早急に進めて円満解決をすることが1つの方法と思いますが、それよりも次の2つ又はその1つを行うことを私は勧めます。
  イ)侵害の特許の内容よりもより優れた内容の発明を全力で進めてこの権利化を行うこと。
  ロ)侵害対象の特許権を無効とする公知文献を探し出して反論の資料とすること。
 特許権が成立するためには審査官等による審査が行われて、同一類似の先願がなく、その発明について特許成立要件(新規性や進歩性等)があれば特許権が成立しますが、この審査は完璧のものでない場合がかなりあります。よってその特許を無効にできる公知文献や資料を探すことが可能です。特に、外国の文献については同一又は類似のものが存在する場合がよくあります。よって、侵害の警告があった場合には、この文献等を探し、この内容をベースにして特許権者と交渉する処置が有効です。この場合、無効審判をあえて請求しなくてもその文献が見つかれば特許権者側からの侵害の追究がなくなります。
 以上のように、侵害については極力円満に、かつ早急に、かつ多額のお金を要することなく、解決することが一番望ましいと私は思っております。
 勿論、中国のように故意に侵害するようなケースについては無駄な争いを極力避けることが必要です。
 なお、侵害に関しては多くの事例や法規定も有り、専門家とのコンタクトが必要と思いますが、色々の書類もあり、個人としても勉強しておくことが必要と思います。

 

160 2009/1/26(月) 午前 9:58

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“実用新案について”
 発明(考案)をした場合、昔は大発明的なものは特許出願とし、方法以外の物に関する小発明(考案)については実用新案登録出願をすることが一般的な常識でした。特許と実用新案とは殆ど同じ法律により処理されて特許権や実用新案権を取得するように定められていました。
 しかしながら、最近では特許のみが実体審査され、実用新案については方式審査のみで実体審査が行われないようになりました。この原因は不明ですが、私の想像では権利取得までの時間が長く(2~3年)、出願人から厳しく批判されたことに対する1つの対応等ではないかと思います。勿論、審査促進としては審査官や準審査官の増員やオンライン化等の各種の手段が行われたことも事実です。
 方式審査のみで実用新案権を知ることができ、権利化までには数ヶ月程度の短時間で権利書が入手するため便利な制度であると思ったのですが実際には実用新案登録出願の数は激減し、年間1万件程度と大きく下廻るようになりました。特に大企業や特許事務所を経由した出願については実用新案登録出願は殆どなく、特許出願に限定されているものが現状です。
 この理由の1つとしては実体審査がなくて取得した実用新案権の価値が極めて低く、かつ権利取得後の権利価値を基にした種々のトラブルに対応できなくなる点を恐れたためと思います。
 しかしながら、私はこのような実用新案権でもかなり有用の使い道があると思います。
 その1つとしては、とにかく早期に権利取得ができるため、単に出願中にあるとのカタログ表示よりも権利取得と言うカタログができ、実体的価値がなくてもPR的な価値があり、営業における宣伝効果は少なくともあると思います。特に、特許法等の智識の低い業界等においては十分な宣伝効果を生み出すことが可能です。
 また、実用新案登録出願を特許出願のダミとして使用するウルトラC出願に対しては有効なものであり、この点については「ウルトラC」と言う表現を用いて以前に発表したことがあり、その辺を見て下さい。
 実用新案登録出願については実体審査は行われませんが、実用新案法で定められている色々な法的内容については殆ど特許出願の場合と同様です。但し、実体審査がないため出願審査請求制度がなく、出願時に1乃至3年分の登録料を事前に支払う必要がある点等の多少の相異はあります。
 特に、大きな相異として実用新案制度には「技術評価請求」と言う制度があります。このものは実体審査のない実用新案登録出願の請求項について仮に審査した場合においてどの位の実体的考案性があるかと言う判定的の評価を行うものであり、その請求形式や実用新案技術評価書の書式が定められています。添付表はその一例を表示したものであり、評価点が1点から6点まであり、1点は新規性の欠如するものであり、6点は先行技術がなく、仮り実体審査をした場合、権利化の可能性の高いものとするものです。よってこの請求をして6点を取得した実用新案はかなり価値のあるものと判断されることになります。また、この技術評価書は差止請求をする場合には提示する義務があり実用新案法第29条の2に明確に定められている。
 以上により、仮に技術評価書の点数が6点の実用新案権は侵害者に対して侵害を有効にやめさせる働きを有するものである。
 また、実用新案は実体審査がないため、権利取得後において無効審判を請求されて権利無効になることも十分に考えられるため、この点を十分に留意することが必要である。
 また、罰則も特許法と内容は殆ど同じですが罰金の額は特許権よりもやや定額に定められています。
【技術評価書】

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“意匠について[1]”
 産業財産権(昔の工業所有権)の中には意匠権があり、この意匠権の取得に関連して意匠法が定められています。
 この法律で保護しようとしている意匠については色々の本に書かれており、詳しくはその本等を見ればよいが、簡単に言うと独力して取引の対象になる有体的な動産である物品の形状や模様や色彩に関するものや、これ等の結合されたものが意匠とされています。しかし、よく解らないかも知れません。
 簡単に言うと物品の外観美に関するものであり、技術的の価値を有していないものと言っても過言でないと思います。技術的価値がなくともその物品の外観が購入者の販売意欲を刺激するものがあれば商品として販売されるものとなり、外観美についても美的感覚を刺激するものがあれば技術的の価値のあるものより多量に販売される商品となり得ることは当然です。
 この物品の工業性や審美性の内容については別の機会に記載してもよいと思いますが、前記のようにこの内容についても多くの本があり、詳しく書かれているためここでは述べないことにします。
 ここで、私が必要と思うのは意匠と特許や実用新案、特に実用新案と意匠との相違や、意匠と商標との違いや著作物との相違であり、これ等について少し書いて見ようと思います。
 【実用新案との違い】
 実用新案はある物品について技術的の価値のあるものについて保護しようとするものであり、現在の法律ではこの実用新案権は方式審査のみによって権利化されるため、特許のように大きな技術的価値がないけれども権利化を早期に欲する場合に適用されるものと思います。
 即ち、物品として形状的特徴があったりある程度の美感があった場合、意匠として出願して意匠権を得る代りに実用新案登録出願して早期に権利化しようとする考えがあります。
 この場合、実用新案として出願するためには単に形状や美感に重点があるより技術的価値があることが勿論必要です。
 しかしながら、実用新案は前記のように方式審査のみで権利化されるため、その内容に無効事由を有するものであり、権利化しても不安定の権利のため他人の侵害やライセンス契約の取得に対しては比較的無力の権利であり、どちらかと言えば営業戦略上の価値にポイントがあるものと考えられます。
 しかし、実用新案権は4ヶ月乃至6ヶ月程度で権利化されるメリットがあり、技術評価制度の利用もあり特許とのウルトラC的の価値もあり、全く必要のないものではないと思いますが、前記のように多くの欠点を有しております。
 一方、意匠は技術的価値がないものでも形状や美感に特殊性があれば意匠権を確保することができます。当然ながら意匠は方式のみならず実体的審査が行われ、意匠権は独占権となります。
 また、最近では意匠権は6ヶ月乃至10ヶ月程度で権利化される場合が多いようです。そのため、技術的価値が少しあっても意匠権として確立した方が実用新案権よりもよいとの判断がされております。
 勿論、これに対する反対意見もありますが特許のように大きな発明でない日常的な商品の場合は意匠権を取得した方がよいと言う判断も大切と思います。
 以上のことから、本質的には実用新案権を取得してその技術的価値によって他と区別することが必要の場合でも意匠権を取得して独占権を得ることも重要な場合もあります。但し、意匠は物品の外観であり、技術的価値については権利がないので、外観の異なるもので技術的価値が同一又は類似のものに対して独占権を行使することができないデメリットがあります。
 以上のように意匠と実用新案とは物品の出願の対象としては特別相異するものではなく、どちらで出願してもよいものですが、権利の内容が前記のように大きく相異することを理解することが大切です。
 私は例えば、ドライバのような工具の場合は、その内容等に大きな技術的価値がそれ程ない場合には意匠権を得る道の方がよいのではないかと思っています。
 なお、くどいようですが、意匠は外観であり、内部の構造や技術的価値については権利の対象外であることを理解しておくことが必要です。
 また、少し似ているものでも関連意匠として別出願することが必要と思います。
 次に、意匠と商標との違いや著作権との相違や秘密意匠や関連意匠等について書いてみようと思います。

 

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“意匠について[Ⅱ]”
【商標との関係】
 意匠は物品の外観についての権利であり、商標は商品や役務(サービス)の自他識別のマークであり、基本的に相異するものであるが、幾つかの問題点があるので明確にしておきたいと思います。
 通常の商標は「マーク」のため物品とは容易に区別されるが商標の中には「立体商標」と言うものが有ります。この立体と言う言語がありますと立体的な商標があると錯覚する恐れがありますが、立体商標は物品的の立体ではなくマークの形態が立体図的なものを言います。
 よって、立体商標は物品とは全く相異します。そのため、意匠と商標とは峻別されます。しかしながら、商標法第29条に商標権と他の権利(特許権,実用新案権,意匠権及び著作権)との抵触の規定があります。これはどう言うことでしようか?
 この事は商標の形態と他の権利との形態が同一又は類似のものがあると言うことではなく、例えば、特許や実用新案のクレームや明細書の内容に商標権を有している名前や図柄等を用いた場合であり、意匠権及び著作権との関係もそれ等のものに商標権のある名称や図柄等を用いた場合に当ると判断してよいと思います。
 以上のことから商標と意匠との関係はそのものズバリにあるものではなく、商標のマークの形状や図柄と同一又は類似のものを用いた場合における関係であり、形態状では全く相異するものと良いと思います。
【著作権との関係】
 意匠が物品の形状や美感を基本としているものであるため、美的表現を1つのベースとしている著作権との抵触が問題になると思いますが、結論として両者間での権利の抵触は特別の場合以外はないと思って良いと思います。
 よって、意匠登録出願をする場合に著作権について深く調査する必要はないと思いますし、実際調査は大変困難であり、コスト的にも高額のものとなると思います。
 意匠が美感を1つのポイントとし著作物も美も大きなポイントとしているため、両者に共通点があると思いますが、この場合、美の表現形式が異なるものと思います。この表現形式の相異についてはかなり難しい問題と思いますが、自律的美が著作物であり自律的なものとして自由に起り、己れ自らあらわになる美であり絵画や彫刻などの形式によって現象界に表れるものであり、純粋美術と言う表現のものと思います。
 一方、意匠の美は他律的な美であり、他から律せられて表れるものであり、他からの諸々の条件や制約により規定されて表れるものであり、工業的な形式で現象界に実視されるものであり、不純粋的美術品(応用美術品)と呼ばれるものです。また、意匠は物品に制約され、物品を離れて意匠は成立しないことを認識することにより著作権との相違はある程度正確に区別することができると思います。
 しかしながら、キャラクタについては両者の区別が難しい点があり、著作物としてキャラクタは成立しますが、それが量産可能な物品の形態となった場合は意匠となり、相違はありますが権利抵触になり得るものと思います。
 最後に意匠と特許及び実用新案との関係は外観が同一形状のものは技術的内容において相違しても権利抵触の対象となるため、特許や実用新案の出願時には同一形状の意匠の存在を無視することはできないと思います。

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